退院後に自宅で医療を受けたいときは?在宅医療・訪問診療の始め方
退院が決まったものの、「自宅に戻ってからの通院が難しい」「病院に行かなくても医療を受けられる方法はないだろうか」とお悩みではありませんか。そんなときに選択肢となるのが「訪問診療」です。訪問診療とは、お医者さんが定期的に自宅に来てくれる仕組みのこと。このページでは、退院後に訪問診療を始めるための手順を、5つのステップでわかりやすくご案内します。
こんなときに訪問診療を検討しましょう
以下のような状況にあてはまる場合、訪問診療が選択肢になります。
- 退院後、体力や足腰の問題で病院への通院が難しい
- 病状は安定しているが、定期的な診察や薬の管理が必要
- 自宅で療養を続けたい、住み慣れた環境で過ごしたい
- 寝たきり、または車いす生活で外出が困難
- ご家族の送迎負担が大きく、通院の継続が難しい
- 退院後に在宅での点滴、酸素療法、褥瘡(じょくそう)の管理などが必要
「通院できないから医療を受けられない」ということはありません。訪問診療を利用すれば、自宅にいながら継続的に医師の診察を受けることができます。
訪問診療とは?自宅で受けられる医療のかたち
訪問診療は、医師があらかじめ決められたスケジュールで患者さんのご自宅を訪問し、診察や治療を行う医療サービスです。一般的に月2回程度の定期訪問が基本となります。
「往診」と混同されることがありますが、往診は体調が急に悪くなったときに医師を呼ぶものです。一方、訪問診療は計画的・定期的に医師が訪問するため、病状の変化を早期に発見したり、薬の調整を継続的に行ったりできるのが特徴です。
訪問診療で受けられる主な医療には、次のようなものがあります。
- 定期的な診察・健康状態の確認
- 血液検査や尿検査などの各種検査
- 薬の処方・管理
- 点滴、注射
- 在宅酸素療法の管理
- 褥瘡(床ずれ)の処置
- 痛みの管理(緩和ケア)
- 看取りに向けた対応
訪問診療は医療保険が適用されるため、通常の通院と同じように保険の範囲内で受けることができます。
退院後に訪問診療を始める5つのステップ
Step 1:退院前に病院の相談窓口に相談する
まずは入院中の病院にある「地域医療連携室」や「退院支援室」に相談しましょう。ソーシャルワーカー(MSW)や退院支援の看護師が、退院後の生活や医療について一緒に考えてくれます。
「退院後に通院が難しそうなので、自宅で診てもらえる方法を知りたい」と伝えれば、訪問診療の紹介や手配を進めてもらえることが多いです。退院が決まったら、なるべく早い段階で相談しておくと安心です。
Step 2:ケアマネジャーに連絡する
介護保険を利用している方は、担当のケアマネジャーにも退院後の訪問診療について相談しましょう。ケアマネジャーは訪問看護や介護サービスとの連携を調整してくれます。
まだ介護保険の申請をしていない場合は、お住まいの市区町村の窓口(地域包括支援センター)に相談してください。要介護認定を受けることで、訪問診療と合わせて訪問看護や訪問介護も利用しやすくなります。
Step 3:訪問診療クリニックを探す
訪問診療を行っているクリニックを探します。病院やケアマネジャーから紹介を受けることもできますが、ご自身で探して比較することも大切です。
在宅クリニックナビでは、全国の訪問診療に対応したクリニックを地域ごとに検索できます。対応エリアや診療内容を確認して、自宅から通える範囲のクリニックを探してみましょう。
Step 4:初回面談・契約
クリニックが決まったら、初回の面談を行います。面談では、これまでの病歴や現在の状態、ご家族の状況、自宅の環境などを確認し、訪問診療の内容や頻度、費用について説明を受けます。
契約前に不安な点や疑問があれば、遠慮なく質問しましょう。訪問の曜日や時間帯、緊急時の対応体制なども確認しておくと安心です。
Step 5:定期訪問の開始
契約が完了すると、計画に基づいて定期的な訪問診療が始まります。通常は月2回程度の訪問で、医師が自宅で診察を行い、必要に応じて検査や処方を行います。
体調の変化があった場合は、訪問日以外でもクリニックに電話で相談できます。多くのクリニックでは24時間の電話対応体制を整えています。
用意しておくとよいもの
訪問診療を始める際に、以下のものを準備しておくとスムーズです。
- マイナ保険証(マイナンバーカード)または資格確認書
- 介護保険被保険者証(お持ちの場合)
- お薬手帳 ── 現在服用中の薬を正確に伝えるために必要です
- 紹介状(診療情報提供書) ── 入院していた病院から発行してもらいましょう
- 退院時サマリー ── 病院での治療内容や経過がまとめられた書類です
- 限度額適用認定証(お持ちの場合)
- これまでの検査結果(血液検査、画像検査など、手元にあるもの)
よくある質問
- 訪問診療は誰でも受けられますか?
- 訪問診療は、通院が困難な方を対象としています。年齢制限はなく、病気やけが、障害、加齢などにより一人で通院することが難しい方であれば利用できます。まずはクリニックに相談してみてください。
- 費用はどのくらいかかりますか?
- 訪問診療は医療保険が適用されます。1割負担の方で月額5,500円から7,000円程度が目安です(月2回訪問の標準的なケース、薬剤費は別途)。負担割合や診療内容によって異なりますので、契約前にクリニックから詳しい説明を受けましょう。詳しくは訪問診療の費用ガイドもご覧ください。
- 入院中から申し込むことはできますか?
- はい、入院中から訪問診療の準備を進めることができます。むしろ退院前に手配しておくことで、退院後すぐに訪問診療を開始でき、医療の空白期間を作らずに済みます。病院の地域医療連携室に早めに相談しましょう。
- 訪問診療と訪問看護は違うものですか?
- はい、異なるサービスです。訪問診療は医師による診察・治療で、訪問看護は看護師による療養上のケア(点滴管理、服薬支援、リハビリなど)です。多くの場合、訪問診療と訪問看護を組み合わせて利用します。
本記事は、在宅医療に従事する現役医師を含む監修チームが医学的内容を確認しています。編集方針・監修体制について|最終確認日: 2026年6月10日
情報提供について
本ページは在宅医療・訪問診療に関する一般的な情報提供を目的としています。症状や病状により適切な対応は異なります。実際の受診や治療については、医師・医療機関にご相談ください。
最終更新:2026年6月10日