高齢者の「見え方」の変化に気づくために ― 視野セルフチェック

最終更新:2026年8月4日

在宅で療養している方が「最近よくつまずく」「食器の片側だけ残す」といった変化を見せたとき、その理由が目にあることは少なくありません。視力そのものは保たれていても、見えている範囲——視野——が少しずつ狭くなっていることがあるためです。このページでは、加齢に伴う見え方の変化と暮らしへの影響、ご家族やケアマネジャーが気づけるサイン、眼科にかかるタイミングを整理しました。あわせて、画面上で片眼ずつ見え方を確かめられるセルフチェックを掲載しています。

・このページのセルフチェックは、医師による診察・検査に代わるものではなく、病気の有無を判定するものではありません。

・結果にかかわらず、見え方に不安があるときは眼科へご相談ください。

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加齢とともに「見え方」はどう変わるか

年齢を重ねると、目には複数の変化が同時に起こります。手元が見えにくくなる、白くかすむ、暗い場所で見えにくい、まぶしさを強く感じる、色の濃淡の違いが分かりにくくなる——こうした変化はよく知られています。それに比べて気づかれにくいのが、見えている範囲そのものが狭くなる変化です。

視力が保たれていても、見えていない範囲があることがある

視力検査で測っているのは、まっすぐ見つめた先のごく狭い部分の見え方です。その中心が「1.0」であっても、その外側に見えにくい部分があるかどうかは、視力検査だけでは分かりません。視野は、目の奥(網膜や視神経)から脳までのどこかに変化があると欠けることがあり、原因もひとつではありません。

変化がゆっくりだと、本人は気づきにくい

視野の変化が本人に自覚されにくいのには理由があります。ひとつは、片方の目で見えにくい部分を、もう片方の目が補ってしまうこと。もうひとつは、脳が欠けた部分の周囲の情報から「見えているはずの景色」を埋めてしまうことです。そのため、両目で見ているかぎりは景色が欠けているようには感じられず、かなり進んでから初めて気づかれることがあります。周囲の人が生活の様子から気づく意味は、ここにあります。

視野が欠けると、暮らしはどう変わるか

転倒・ぶつかりが増える

足元や体の横側が見えにくくなると、段差や敷居、家具の角、床に置いた荷物に気づけません。在宅療養では、夜間にトイレへ向かう場面がとくに危険です。転倒は骨折や入院のきっかけになりやすく、そこから一気に生活の力が落ちてしまうこともあります。

食事・服薬・身の回りの動作

お皿の決まった側だけ食べ残す、コップに手が届かずこぼす、薬のシートから錠剤をうまく取り出せない、爪切りや衣類のボタンに時間がかかる——こうした「手元の作業がしにくい」変化も、見え方が関係していることがあります。介助する側からは「意欲が落ちた」「動作が遅くなった」と映りやすい点に注意が必要です。

外出と移動

横から近づく人や自転車に気づかない、階段を踏み外す、外出先で人にぶつかる、といった形で表れます。運転をされている方であれば、見えていない範囲があることは安全に直結します。

ここに挙げた変化は、視野以外の原因——筋力やバランスの低下、認知機能の変化、薬の影響、貧血や脱水など——でも起こります。見え方だけに原因を決めつけず、気になる変化が続くときは、かかりつけ医にも相談してください。

家族やケアマネジャーが気づける兆候

ご本人が言葉にしにくい変化は、日常の動作に先に表れます。訪問時に次のような様子が続いていないか、見てみてください。

ひとつ当てはまったからといって、それが病気を意味するわけではありません。ただ、こうした変化がしばらく続いているなら、見え方を一度確かめてみる価値があります。

画面でできる視野セルフチェック

以下は、画面の中央を見つめたまま、周辺の見え方を片眼ずつ確かめる簡易的なセルフチェックです。画面の大きさを実寸に合わせるところから始まります。検査そのものは8分ほどですが、画面の設定を含めて10分程度をみておくとよいでしょう。普段お使いの眼鏡は、かけたまま行ってください。

ご本人が画面の操作に慣れていない場合は、ご家族が横で読み上げながら進めると取り組みやすくなります。途中で疲れたときは、無理に続けず中断してかまいません。結果は印刷して受診時に持参できます。

なお、このセルフチェックは、見えにくい場所があるかどうかを画面上で確かめるためのものです。結果がどうであっても、病気があるかどうかを判定するものではありません。また、見えにくい場所が見つからなかった場合でも、目の病気がないことを示すものではありません。

視野・中心視のセルフチェック

緑内障 視野セルフチェック

画面上で片眼ずつ、リスク因子の問診・中心10度のアムスラーチャート・簡易的な視野の測定を行います。 結果は測定値としてそのまま表示します。所要時間はおよそ8分です。

これは診断ではありません。異常がなくても緑内障は否定できません。 気になる場合は眼科で検査を受けてください。

画面を実寸に合わせる

視野検査は視角(度)で位置が決まるため、画面の実寸が必要です。 手持ちのカード(キャッシュカード等・85.6 × 54 mm)で校正します。

カードを画面に当てて、枠を実物の幅に合わせてください

カードの短辺ではなく長辺(横 85.6 mm)を枠の横幅に合わせます。

85.6 × 53.98 mm
324 px

視距離

中心18度まで検査できる距離です。検査中に距離が変わると結果がずれます。

cm

実寸解像度
3.78px/mm
推奨視距離
30cm
検査可能範囲
18°
1度あたり
20px

検査前に整えること

  • 部屋の照明は普通の明るさで。直射日光や画面への映り込みは避けてください。
  • 画面の明るさは中〜やや明るめに固定し、途中で変えないでください(自動輝度調整はオフに)。
  • めがね・コンタクトは装用したまま。老眼のある方は、この距離にピントが合う眼鏡で。
  • 片眼は手のひらで軽く覆います。押さえつけず、まぶたは開けたままにします。
  • 検査中は必ず中央の固視点を見続けます。刺激を探して目を動かすと結果が無効になります。

眼科にかかるタイミング

見えない点があった場合、緑内障のほか、網膜の病気や脳の病気などで視野が欠けていることがあります。何が起きているのかは、このセルフチェックでは分かりません。気になる結果が出たときも、結果にかかわらず見えにくさを感じているときも、眼科でご相談ください。

早めに相談したいとき(一般的な目安)

また、急に見えにくくなった・急に見える範囲が欠けた(数時間から数日のうち)、目の強い痛みや充血、頭痛・吐き気を伴うといった場合は、様子を見ずにその日のうちに医療機関へ連絡してください。急いで対応したほうがよい状態が含まれます。

症状がなくても、定期的に

目の病気の多くは、自覚が出るよりも前から静かに進みます。40歳を過ぎたら、症状がなくても定期的に眼科で目の状態(眼底・眼圧など)を確かめておくことがすすめられています。在宅療養中の方では、通院が途切れたまま何年も経っていることも珍しくありません。「最後に目を診てもらったのはいつか」を、ケアプランの見直しのときに一度確認しておくとよいでしょう。

眼科の探し方と、受診のときに伝えるとよいこと

通院が難しいとき

まずは、かかりつけ医や訪問診療の担当医、ケアマネジャーに「目のことが気になっている」と伝えてください。付き添いや介護タクシーの手配、通院しやすい時間帯の相談など、調整できることがあります。眼科の訪問診療に対応している医療機関が近くにあるかどうかも、地域の状況によって異なりますので、あわせて相談してみてください。施設に入居されている場合は、施設が連携している医療機関を確認するのが早道です。

受診のときに伝えるとよいこと

お近くの訪問診療クリニックを探す

通院が難しくなっているときの相談先を探せます。目の症状については、あわせて眼科へご相談ください。

本記事は、在宅医療に従事する現役医師を含む監修チームが医学的内容を確認しています。編集方針・監修体制について|最終確認日: 2026年8月4日

情報提供について

本ページは一般的な情報提供を目的としたもので、個別の病状の判定や治療方針の決定を行うものではありません。掲載しているセルフチェックは、医師による診察・検査に代わるものではなく、結果にかかわらず病気の有無を示すものではありません。気になる症状がある場合は眼科などの医療機関へご相談ください。

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最終更新:2026年8月4日